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男性の在宅勤務が多くなれば、育児や教育などを夫婦で分担することができる。
コンピューターネットワークの普及により在宅ワークが可能になったということだけから、ただちに夫は会社で仕事、妻は家庭に育児・教育という夫婦の役割固定がなくなるとは考えられないが、その条件が整うことは確かなことだ。
コンピューターネットワークの普及により在宅ワークが可能になるのは、主婦だけではない。
身体に障害を持った人などハンディキャップを持った人が自宅で仕事ができるようになる。
また、手足が不自由でも、コンピュータを操作できるような機器が開発され、コンピューターネットワークの普及と相まって、身体にハンディキャップを持った人が、健常者と同じように働ける環境が整いつつある。
さて、在宅ワークのインフラストラクチャーとしてのコンピューターネットワークの構築には、多大な資本の投下が必要なのであろうか。
「インフラストラクチャー」「ネットワーク」などというと大げさな響きだが、電話線とパソコンさえあれば、簡単にコンピューターネットワークが築ける。
例えば、在宅の企画マンが企画書を作成する仕事をするとしよう。
この企画マンは、自宅で企画を立案、ただちにパソコンのワープロソフトで企画書をまとめ、一緒に仕事をやっている同僚へ電子メールで送る。
同僚との間で、加筆修正した後、これまた電子メールで上司に提出する。
このとき使う電子メールは、自社のネットワークを使ってもよいし、パソコン通信ネットの電子メールサービスを利用してもよい。
このほか、コンピューターネットワークが普及するはるか以前から「在宅」ワーカーであったフリ上フイターの仕事のやり方が変わった。
原稿を郵送したり、編集部に持参したり、編集者が受け取りにきたりするのは、過去のこと。
コンピューターネットワークででき上がった原稿を送る。
すると瞬時に編集者の手元へ原稿が届く。
実に効率良く仕事がはかどる。
最近では、印刷の工程がすべて電子化されているので、原稿の段階でパソコンやワープロ専用機入力されていれば、いくつかの工程が省略できる。
逆に手書き原稿であれば、ワープロ入力する手間がかかるので、最近は手書き原稿は歓迎されない。
これはフリ上フイターに限ったことではない。
パソコンで入力されたデータであれば、複写も簡単だし、加工も簡単なので、オフィスでも文章や数量データは、電子化することが普通になっている。
いつまでも手書きに固執していると、周囲から異端視されることになる。
産業の構造そのものが変化する全世界の企業を結びつける「CALS」との関係インターネットをはじめとするコンピューターネットワークの普及で、産業の構造そのものが変わっていく。
また、企業同士のつき合い方も変わっていく。
郵政省の予測では、二〇一〇年には、マルチメディア産業の市場規模が一二三兆円になるという。
かつての自動車産業より規模の大きな産業となることが予想されている。
こういった予測の発表がマルチメディアブームをより熱いものにしているのは確かだ。
この予測が正しいか否かはともかく、情報産業の規模がもっと大きくなることは間違いないようだ。
それだけでなく、産業の情報化が進む。
あらゆる産業分野で情報通信の持つ意味が飛躍的に大きくなるのだ。
農業だからといって、情報通信に無縁ではないし、製造業がエンドユーザーの情報に無縁でいられるわけではない。
あらゆる産業で、またその中の企業で、さらにその企業の中のあらゆる部署の情報をいかに集め、いかに発信していくかが大きな課題となっている。
例えば、これまで製造業では、工場が「現場」であった。
しかし、今では消費の場が「現場」である。
消費の現場から発想していかないと売れる製品はつくれないという認識が一般化しつつある。
製品を使った消費者の意見が、開発・設計部門や製造部門に正しく伝わっていかなければ、売れる製品はできないというのだ。
情報を正しく伝えるために、多くの企業では、消費者からの苦情や問い合わせを電子データにして蓄えている。
このデータベースを参考に、新製品の開発を行っている企業もある。
このように消費者によって製品が使われる「現場」から工場や設計・開発部門にまでわたる情報の流れをつくるのにコンピューターネットワークは有用だ。
さらにこの社内ネットワークがインターネットに接続されていれば、消費者の意見を開発者が直接聞くことができる。
ネットワークの拡大と共に製造業者同士の結びつきも、ネットワークを介したものとなる。
こうなってくると、自社内だけではなく、異なった企業同士でのデータ交換も盛んに行われるようになる。
そうなってくると異なった機種やソフトでしか使えないデータでは役に立たなくなる。
相手の企業が運良く同じソフトを使っていればよいが、そうでないとき、それだけの理由で取引先を逃すことになりかねない。
そこで、どんな機種やソフトでも使えるように、電子データの形式を標準化することが必要になる。
最近、キャルス(CALS)という言葉が注目されているが、これもデータの標準化が主な目的となっている。
キャルスというのは、「生産・調達・運用支援統合情報システム」、「調達情報システム」、「電子取引支援システム」などと訳されている。
この本の主題に即していえば、インターネット上を行き交う情報の形式の規格と考えていいだろう。
キャルスは、インターネットを通じて企業間で電子データの交換を行う際の標準規格になりつつあるのである。
TCP/IPという通信プロトコルが事実上の標準となることで、インターネットは拡大していったが、同じようにキャルスが電子データの標準となることで、企業間の電子データの交換はもっと頻繁に行われるようになるだろう。
その電子データの交換の「通路」としてインターネットがもっと使われることになる。
キャルスは、インターネットを介して情報を共有化するためのツールでもあるのだ。
このようにインターネットは、生産者と消費者を直接結びつけるばかりでなく、企業と企業の間を直接結びつける。
インターネット上に自社の製品情報を提供することで、新たなビジネスパートナーが見つかる。
しかもそれは日本国内にとどまらず、世界各地の企業との取引かもしれない。
インターネットは、起業を促す大きな力だ。
事業を起こすのに大変な労力と知力が必要だということはこれまでと変わりないが、わずかの資本しかなくても、また、流通経路をもっていなくても、インターネットを活用すれば、わずかな時間で大きな「市場」を手に入れることができる。
また、事業を起こすためには、それに協力してくれる人材が必要だが、これもインターネットで探すことが可能だ。
自社の人材確保のためにインターネットに求人情報を提供する企業が増えているが、これから事業を起こそうとしている個人や企業にとってもインターネットは、人材確保のための重要な資源でもある。
いまのところ、まだ、インターネットを利用する人々が限られているため求人の職種が、コンピューターソフトの開発者などコンピュータ関連に限定されているが、利用者層の拡大により、あらゆる職種の求人が可能になる。
しかも、これらの人材が、たとえ海外にいても、スタッフとして働いてもらうことができるのが、インターネットの強み。
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